片頭痛
まとめ
・片頭痛にはCGRPが関連している可能性があります
・片側のこめかみあたりがズキズキと痛むことが多いです
・動けなくなってしまう、吐いてしまうこともあります
・カロナールやロキソニン、トリプタン製剤などで痛みを和らげたり
降圧剤やCGRP関連抗体薬で予防したりします
原因
以前は血管収縮により前兆が起こり、
血管が拡張して拍動性頭痛が起こる、
と言われていました。
しかし、その後の研究で
カルシトニン遺伝子関連ペプチド
CGRP: calcitonin gene-related peptide が
関与していることが示されました。
三叉神経という神経からCGRPが放出されると
拍動性頭痛や頚部痛、様々な刺激を痛みとして感じてしまう、
などが出現します(Bernstein C ら, 2012)。
症状
男性(3.6%)よりも女性(12.9%)に多くみられ、
30歳代に特に多くみられます。
主に頭の片側のこめかみあたりに
ズキズキするような拍動性の頭痛が起きる病気です。
ひどい場合は、
動けなくなってしまう、
吐いてしまうこともあり
日常生活に支障が出てしまいます。
頭痛は4〜72時間つづき、
普段は気にならないような光、音、におい
などが不愉快に感じることもあります。
頭痛が出現する前に
キラキラした光、
ジグザグの光が現れる(閃輝暗点)ことも
あります。
治療
非薬物療法
頭痛の誘因となるストレスや天気、
睡眠不足・寝過ぎ、特定の食品、アルコール、
月経などのうち
避けられるものは避けましょう。
痛い部位を冷やす、と和らぐことがあります。
薬物療法
急性期治療:頭痛時に行うもの
1. アセトアミノフェン
軽〜中等度の頭痛に有効
妊娠中でも使用できます
2. NSAIDs
軽〜中等度の頭痛に有効
トリプタンと併用することもあります
胃や腎臓の障害に注意が必要
ロキソプロフェン、イブプロフェンなど
3. トリプタン系薬剤
頭痛が出現してからできるだけ早く使用することが重要
血管収縮を引き起こすため心筋梗塞や狭心症、
脳梗塞などの既往があると使用できません
各薬剤で特徴があるため、性別や頭痛の出やすい時期などに
あわせて選択します
4. ラスミジタン
商品名は「レイボー」
CGRPの放出を抑えて血管拡張や炎症、痛みを抑えます
血管収縮を引き起こさないため、トリプタンが使用できない
心筋梗塞や脳梗塞などの既往がある場合でも使用できます
内服2時間後、25〜39%で頭痛消失、39〜49%で吐き気など消失
副作用として、めまいが起きやすい(約20%)ため注意が必要です
5. ゲパント製剤
トリプタンと同等の効果
急性期治療・予防効果ともに示されました
心血管疾患の既往があっても使用可能
長期使用で肝毒性がみられたため、新たな薬剤が開発中
予防療法:頭痛が起きないよう日頃から行うもの
片頭痛が月に2回以上、
生活に支障の出る頭痛が月に3回以上あれば
予防療法の開始を検討します。
片頭痛の回数を減らす、頭痛の程度の軽減、頭痛時間の短縮、
急性期治療の反応改善、
生活の支障の軽減を目指します。
Ca拮抗薬のロメリジン、
β遮断薬のプロプラノロール、
抗てんかん薬のバルプロ酸、
三環系抗うつ薬のアミトリプチリン、
などから選びます。
予防効果は2ヶ月ほどかかり、
副作用などがなければ6〜12ヶ月間つづける。
CGRP関連抗体薬
月の片頭痛が4日以上、
予防薬のいずれかが
①効果不十分、
②忍容性が低い、
③禁忌または副作用などの観点から安全性へ強い懸念がある、
のうち1つ以上の理由によって使用または継続ができない場合
CGRP関連抗体薬の開始が検討されます。
3種類のCGRP関連抗体薬があり、
月あたりの片頭痛日数が半分以下になる割合が
約30〜50%
と報告されいます。
ただ、
それぞれ直接比較した研究はなく、
どういう片頭痛にはどの薬剤が有効か
など分かっていないことも多い状況です。