睡眠時無呼吸症候群SAS
睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome: SAS)とは
Mさんは以前から
「日中の強い眠気」や「日常的だるさ」を感じていました。
夜、睡眠中に目が覚めることはないのに
朝、起きてもスッキリしない感じがありました。
そんなある日、
車を運転中に異常な眠気に襲われて寝てしまい・・・
検査をしてみると、
その原因が
睡眠時無呼吸症候群であった、
ということがあります。
睡眠時無呼吸症候群とは、
睡眠中に何度も呼吸が止まったり
呼吸が浅くなったりして
低酸素状態となってしまう病気です。
原因
閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea: OSA)と
中枢性睡眠時無呼吸がありますが、
多くの場合は閉塞性です。
閉塞性睡眠時無呼吸
肥満や小顎症、扁桃肥大などにより
空気の通り道(上気道)が狭くなっているタイプです。
10%の体重増加で重症度は32%増加し、
10%の体重減少で重症度は26%減少する
といわれています(Peppard PE, et al. 2000)。
ただ、
閉塞性の患者さんの
38%はBMI 25未満の肥満ではない方であり、
5%はやせ型の方という報告があります
(佐藤ら, 2017)。
肥満にならないよう注意は必要ですが、
肥満でないから閉塞性睡眠時無呼吸ではない、
とはいえません。
症状
睡眠中🌒
いびきをかく
息が止まる
呼吸が乱れる
息が苦しくて目が覚める
日中🌞
しばしば居眠りする
集中力や記憶力が低下してきている
だるさを感じている
落ち込みやすい
上記の項目は睡眠時無呼吸症候群で出現しやすい症状の例です。
気になる症状がある場合は次の
エプワース眠気尺度をチェックしてみましょう。
24点満点中、11点以上の場合
日中に強い眠気があると考えられるため
検査をした方が良いでしょう。
11点未満の場合でも
日中の強い眠気を自覚する方や
睡眠中に呼吸が止まっている方は
検査をおすすめします。
合併症
無呼吸・低呼吸による低酸素血症、
吐き出せなかった二酸化炭素が溜まる高二酸化炭素血症、
睡眠の分断により日中の眠気、
高血圧、
心血管疾患(心不全、狭心症、心筋梗塞など)、
脳卒中(脳出血や脳梗塞など)、
認知機能低下
などを引き起こす危険性があります。
診断
症状や既往歴、
検査施設外睡眠検査(out of center sleep testing: OCST)を
自宅で行った結果などから診断します。
まずは
簡易検査(polygraphy: PG)を行います。
その結果、
すぐに治療を開始する場合もありますし、
精密検査(polysomnography: PSG)を行う場合もあります。
その結果、
治療を開始したり、
減量などで経過観察したりします。
治療
持続陽圧呼吸(continuous positive airway pressure: CPAP)療法が
標準的な治療となっています。
その他には
下顎を前方に移動・保持する装置(mandibular advancement device: MAD)や
口蓋垂軟口蓋咽頭形成術、
下顎骨骨切り術、
植込み型舌下神経刺激療法、
肥満の改善を目指して腹腔鏡下スリープ状胃切除術
などがあります。
当院では、
検査を行えるよう準備を進めております。