メニュー

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症とは

認知症の原因として最も多く(約60%)、

日本では200万人ほどの方がアルツハイマー型認知症と言われています。

65歳以降に多くみられ、症状がゆっくりと進行します。

ほとんどの場合は遺伝しませんが、約1%ほどで遺伝性のものがあります。

ただ、遺伝性でない場合でも元の遺伝子のタイプによっては

発症しやすいタイプが知られています(ε4タイプのApoE遺伝子)。

また、遺伝子以外に加齢や脳血管障害、糖尿病、高血圧、喫煙、肥満、

頭部外傷などが発症の危険性を上げる、と言われています。

原因は明らかになっていませんが、

アミロイドβが蓄積することで異常なタウタンパク質が産生され、

それによって神経細胞が障害され引き起こされる、という説があります。

症状

記憶障害

 初めに現れることが多く、

 昔のことはよく覚えていますが、最近のことは覚えることができなくなります。

 加齢によるもの忘れでは、自分で思い出したり、ヒントで思い出したりできますが、

 アルツハイマー型認知症ではヒントがあっても思い出すことができません。

 また、食事の内容だけでなく、食べたこと自体も忘れてしまいます。

 記憶障害に対する病識が乏しく、

 「そんなことは気にしていないから思い出さない」というような

 取り繕い行動が見られることもあります。 

日にちや場所がわからなくなる(見当識障害)

 日付がわからなくなり、進行すると場所もわからなくなってしまいます。

 そのため、迷ってしまい外出先から自宅に帰ってこれない、

 自宅内でも迷ってしまうことがあります。

ものの名前が出てこない(言語障害)

 ものの名前が出てこなくなり、「あれ」ということが多くなったり、

 使い方で伝えようとしたりします。

 進行すると、同じ話を何度も繰り返したり、

 言葉を発すること自体が減っていったりします。

着替えられない、車をこすってしまうなど(視空間認知障害)

 自分自身と対象との位置関係がわからなくなってしまい、

 立体図形が書けない、車庫入れができない、上着を着れない、

 などの症状が見られることがあります。

段取りが悪い、作業が遅いなど(遂行機能障害)

 目的に向かって計画を立てて、成し遂げることが難しくなります。

 いつまでもお化粧をしている、家電が使えなくなる、料理を作らなくなる、

 などの症状が見られることがあります。

うつうつとしている、やる気が落ちている、妄想など(精神症状)

 気分が落ち込みやすかったり、怒りっぽくなったり、

 持ち物を盗まれた、と訴えたり(物盗られ妄想)することがあります。

検査

認知機能検査

 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)や

 Mini-Mental State Examination(MMSE)などが広く使用されています。

画像検査

 同じような症状が見られる疾患(正常圧水頭症、硬膜下血腫、脳腫瘍、脳血管障害、甲状腺機能異常、ビタミン欠乏症など)と鑑別するため、

 血液検査やCT、MRI検査が行われます。

 アルツハイマー型認知症では、CTや脳MRIで海馬周囲の萎縮が目立つ、

左右差があまりない脳全体の萎縮が見られます。

 脳血流SPECT検査では、後部帯状回や楔前部など側頭葉の両側性の血流低下が特徴的です。

 医療機関によってはアミロイドPET検査を行なっているところもあります。

治療

完全に治してしまうような治療は現時点ではありません。

薬物療法、非薬物療法(介護、ケア、リハビリテーションなど)があります。

非薬物療法

 本人の話を聞き、安心して会話できるような環境が大切です。

 生活環境や認知症以外の病気によっても症状が変動するため、

 可能であれば慣れ親しんだ環境で

 できることは本人が行うように見守ることができると良いでしょう。

 リハビリは運動だけでなく、周りの人と楽しく会話して過ごす、

 楽しく歌う、ペットと触れ合うなどがあります。

薬物療法
①コリンエステラーゼ阻害薬

 アセチルコリンで情報を伝える神経細胞が減少し、

 認知機能が低下すると考えられています。

 そのため、アセチルコリンが分解されないようにする薬が開発されました。

 ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンがあります。

②NMDA受容体拮抗薬

 グルタミン酸がNMDA受容体を過剰に刺激することで

 情報伝達がうまくいかない、神経細胞死が引き起こされると考えられています。

 NMDA受容体への過剰な刺激を抑える薬が開発され、

 メマンチンという薬があります。

③その他

 抗精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠導入剤、漢方薬などがあります。 

④治験

 遺伝性アルツハイマー型認知症の一部に対して抗体薬(抗Aβ抗体薬や抗タウ抗体薬)の効果を検証する治験が欧米などで行われています。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME