メニュー

私が医師になるまで

[2022.08.07]

 東京大学へ入学後は気ままに暮らしていましたが、進路を決める時期がやってきました。

動物のお医者さんへの憧れもありましたが、獣医の生活をおもしろく・楽しく書いていたブログを読んだことが決め手となり、獣医学の道へ進みました。サカナから、カエル、トリ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタなどなど、たくさんの動物について楽しく学ぶことができ、無事に獣医師となれました。イヌの脳炎について研究することとなり、新たな発見をしたり、研究が進まず挫折をしたりしていました。研究を進める上でいつも参考にしていたのは、ヒトの脳炎や神経疾患でした。そのため、「脳や疾患についてヒトの医学へ進んだ方がさらに学ぶことができるだろう」、「医学部へ行ってみよう」と考えるようになりました。

 そして、なんとか福井大学医学部へ編入することができましたが、住み慣れた横浜を離れることにもなり、泣く泣く一人暮らしをすることとなりました。何も作れなかった料理が少しずつできるようになったことも楽しかったですが、実習中に超音波検査を受けて脂肪肝を指摘されたことはショックでした。甘いものを食べすぎたのでしょうか。

 また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんの訪問診療に同行する機会がありました。その方は手足を自由に動かすことは難しく、車椅子の上で生活する時間が長いため、教科書的には「健康」な状態ではありませんでした。ただ、車が大好きであり、「マッドブラックのホットロッドビートルでまた走りたい」と目標を伝えてくれました。また、”MOON EYES”が大好きでカタログやグッズ、フィギュア、ミニカーなどを見せてくれました。私は車のことがよくわかりませんが、偶然にも実家の近くに”MOON EYES”があることは覚えていました。その方がどうすれば愛車をまた運転できるようになるか、私にはわかりませんでしたが、”MOON EYES”のグッズなどを帰省した時に買って配送することはできるので、そのことを約束してお別れしました。帰省した際、”MOON EYES”を訪れて店員の方に上記を伝えると、金額以上のカタログやグッズをサービスしていただけました(情熱的な店員のみなさん、ありがとうございます)。その後しばらくしてメールで知ることができました。その方が多くの方々と協力してサーキットで愛車の助手席に乗り走ることができた、しかも”MOON EYES”のグッズにかけて”Go with ORANGE”というグッズを作成して!

 この出来事が「健康」とは何か、「幸せ」とは何か、固定観念で固められていた私が解けていく大切なきっかけとなりました。「健康」や「幸せ」の定義は、人それぞれなのかもしれません。ガイドラインの基準に従い、エビデンスに裏打ちされた数値を目標とすることも良いと思います。長寿社会となり、いずれは介助される身となることが予想される中で「どのようにありたいか」、それぞれの人でも年齢や状況で異なってくるでしょう。それについて、病気のことに少し詳しいヒトとして、みなさんと共に何ができるのか考えていきたいと思っています。

 福井で歳の離れた同級生たちと楽しく過ごし、無事に医師となることができました。そして、家族の待つ横浜へ戻り、初期研修が始まりました。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME