ポリオ(小児麻痺)について
イギリスのロンドンや
アメリカのニューヨークで
ポリオウイルスが拡散している、という
ニュースが最近みられます。
日本では
ポリオが根絶され、
小児期にポリオワクチンを接種する、
などを学生時代に学びました。
このまま海外で起きていることとして眺めていて良いのか、
ポリオについて学び直しました。
まとめ
・ポリオウイルスによる感染症
・日本では2000年に根絶宣言
・アフガニスタンやパキスタンでは流行中
・感染者の0.1〜2%で弛緩性麻痺(手足がだらんとするような麻痺)となってしまうが
90〜95%は無症状
・特別な治療法はなく、ワクチン接種による予防が重要
ポリオとは
ポリオウイルスによる感染症であり、
ポリオや小児まひ、急性灰白髄炎という病名で言われます。
日本では
1940年代ころから流行しましたが、
1961年から生ポリオワクチンの接種が開始され、
1980年の1例を最後に国内で新規発生は報告されていません。
そのため、2000年にポリオ排除状態であることが宣言されました。
ポリオウイルスはヒトの口から入り、のどや腸で増殖します。
上下水道が整備されていないと
感染者の便で汚染された下水を通じて感染が拡大すると言われています。
日本ではワクチン接種が普及しているため感染率は低いが、
海外の流行地(アフガニスタンやパキスタン、アフリカ地域など)で感染した人から
国内にポリオウイルスが持ち込まれることがあります。
流行地へ行く場合、
成人でも不活化ワクチンの追加接種を検討する必要があります。
症状
ポリオウイルスに感染しても90〜95%は症状は出ず、自然に治癒します
(CDC 2013)。
感染者の5%ほどで
風邪のような症状(発熱、頭痛、のどの痛み、吐き気・嘔吐など)が現れ、
感染者の1〜2%で
リンパ管や血液を介して脳や脊髄に感染してしまい無菌性髄膜炎となり
(McQuillen D et al. 2005)、
感染者の0.1〜2%で
弛緩性麻痺となってしまいます。
麻痺が出現すると回復は困難となり、後遺症として残ることが多いようです
(Man Mohan Mehndiratta et al. 2014)。
麻痺は
感染して数日〜1ヶ月後、だるさ、首の後ろや背中に痛みなどが現れ、
脊髄に感染して重症となった場合は手足に弛緩性麻痺が現れるようです。
さらに呼吸障害が出現すると、命の危険があります。
検査
便を調べてウイルスの有無を確認します。
結果が出るまでに1週間ほどかかるため、
旅行歴や症状からポリオが疑われる場合は
精査加療できる病院へ入院となることが多いようです。
治療
根本的な治療法はなく、対症療法が行われます。
呼吸障害:人工呼吸器で呼吸をサポート
弛緩性麻痺:リハビリテーションで残っている機能の訓練、生活設計
予防
ワクチン:現在は4種混合ワクチンに不活化ポリオワクチンが含まれており、
生後3ヶ月から接種が始まっています。
以前は経口生ポリオワクチンが接種されていました。
しかし、接種後にワクチン株によるポリオに似た麻痺が出現することが見られる場合があり
2012年9月以降は生ワクチンの接種が中止され
不活化ポリオワクチンの接種が開始されました。
不活化ワクチンは4回接種が行われ、
生後3ヶ月に1回目、生後4ヶ月に2回目、
5〜11ヶ月に3回目、追加接種で12〜23ヶ月に4回目の接種があります。
ポリオワクチンによる免疫効果は経過とともに弱まってしまうため、
4〜6歳の就学前に追加接種をするか厚生労働省で検討されています。
以上のことから、
現時点で日本にはワクチン接種を受けてきた方が多いため、
海外からポリオウイルスが持ち込まれても流行する可能性は低いようです。
ワクチンによる発症予防ができないようなポリオウイルスが出現しないか、
その点について注意していこうと思います。